配管サポート選定は、吊りバンドやUボルトなどの形状の種類が多く迷いが増える傾向があります。
配管サポート選定で迷いを減らす最短ルートは、「配管条件 → 必要機能(支持・拘束・熱伸び・防振・耐震) → 代表方式 → 根拠」の順で整理することです。
MSSの規格(SP-58など)と、日本の設備耐震ガイド(JAFMEC等)を根拠として添えると、配管支持計画の設計レビューでも説明が通りやすくなります。
目次
なぜ「配管サポートの種類」で迷うのか
配管サポート選定の迷いは「形状名で覚える」ことが原因で発生します。
吊りバンド、Uボルト、サドルバンドなどの形状名は便利ですが、形状名だけで配管支持計画を組むと、熱伸び・拘束・耐震・防振の条件が後から効いて設計が崩れます。
配管支持装置は、配管自重を支えるだけでなく、熱変位への追従や拘束、地震時の振動抑制などの役割を持つためです。
設計レビューでよく起きるのは、次のような状況です。
配管支持図に「吊りバンド」が並ぶが、配管熱伸びの逃がし方(固定点・ガイド・スライド)が説明できない
横揺れ対策(拘束)と鉛直支持(支持)が混在し、配管ルート変更で整合が取れなくなる
耐震支持を入れたが、あと施工アンカーを含むアンカー計画の根拠が薄い(説明責任が弱い)
ポイント
配管支持計画では、吊りバンドやUボルトを選ぶ前に「必要機能(支持・拘束・熱伸び・防振・耐震)」を確定してください。
なぜなら、配管支持計画で多い手戻りは「形状名を先に決めた結果、熱伸びと耐震拘束が両立しない」パターンだからです。
配管条件から必要機能を先に確定すると、配管支持計画の整合が取りやすくなります。
まずは“機能”で整理する|支持・拘束・熱伸び・防振・耐震

配管サポートの“種類”は、形状ではなく機能で5分類すると選定が一貫します。
配管条件(配管径、媒体温度、施工箇所、振動源、耐震要求)は、必要機能(支持・拘束・熱伸び追従・防振・耐震)を決める原因になります。
必要機能が決まると、代表方式(吊りバンド、Uボルト、スライド、ガイド、防振ハンガ、耐震支持など)が手段として選べます。
機能5分類(設計者向けの整理)
支持(鉛直支持):配管自重を支えるための機能
拘束(横揺れ・推力対策):配管の横方向移動を抑えるための機能
熱伸び追従(変位許容):温度変化による配管伸縮を逃がすための機能
防振(振動絶縁):ポンプ等の振動を配管と建物へ伝えにくくするための機能
耐震(地震時の支持・拘束):地震時の揺れに対して支持・拘束を成立させるための機能(アンカー計画を含む)
条件別|最適な配管サポートを選ぶ判断フロー
配管支持計画は「条件チェック→必要機能→代表方式→注意点」の順で決めると再現性が出ます。
配管支持計画の判断を再現可能にするには、配管条件を固定し、必要機能を確定し、代表方式へ落とす必要があります。
設計レビューで説明できる配管支持計画は、判断手順が言語化されています。
条件チェック(最小セット)
配管径・材質:自重・剛性が変わる
媒体温度(常温/高温/低温):熱伸び対策が必要かが変わる
施工箇所(天井吊り/壁/床):支持方式(吊り・置き・固定)が変わる
振動源の有無(ポンプ、ファン、圧縮機):防振要件が変わる
耐震要求(建物用途・重要度):耐震支持・アンカー計画の要件が変わる
必要機能の確定(判断の言語化例)
「天井吊り配管は**鉛直支持(支持)**が必須」
「高温配管は**熱伸び追従(変位許容)**を設計条件に入れる」
「機器近傍配管は防振を優先して配管支持装置を選ぶ」
「耐震要求がある配管は耐震(支持・拘束)とアンカー計画をセットで成立させる」
代表的な配管サポートの種類一覧と“機能”の対応表
形状名の一覧は、機能5分類に対応づけると“使い分け”に変わります。
「配管サポートの種類一覧」は重要ですが、形状名の羅列だけでは設計判断になりません。
形状名を機能へ接続すると、配管支持計画の説明が成立します。
配管サポート(形状名)×主機能×使う場面の対応表
| 形状名(代表例) | 主機能(5分類) | よく使う場面 | 設計での注意点(要点) |
|---|---|---|---|
| 吊りバンド/吊り金具 | 支持(鉛直) | 天井吊り配管の自重支持 | 熱伸びがある配管は固定点・ガイド・スライド設計が別途必要 |
| Uボルト | 支持(鉛直)/軽い拘束 | 壁・架台上の配管固定 | 締め付けで動きを殺しすぎると熱伸び追従が破綻する |
| サドルバンド | 支持(鉛直) | 配管を面で受けたい場合 | 配管保温・外装との干渉、局部座屈の配慮 |
| 立バンド | 支持(鉛直) | 立管・壁面配管 | 立管の荷重伝達、支持点配置の合理性を説明できるようにする |
| ガイド(案内) | 拘束(横揺れ) | 熱伸び方向を管理したい配管 | ガイド方向の整理と固定点との関係が重要 |
| スライド/ローラー | 熱伸び追従 | 高温配管・伸縮が出る系統 | 固定点・ガイド・スライドの役割分担が必要 |
| 防振ハンガ | 防振 | ポンプ等の振動がある近傍配管 | 防振の対象(振動源)と許容騒音要求を整理 |
| 耐震支持(ブレース等)+アンカー | 耐震(支持・拘束) | 地震時の支持・拘束が必要な配管 | アンカー計画(あと施工含む)を根拠とセットで扱う |
(形状名の例示は、ミスミ等の一般的な技術情報に基づく整理)
設計レビューで“説明できる”根拠の持ち方
結論:配管支持計画の根拠は「規格(MSS)」と「日本の耐震ガイド(JAFMEC等)」で役割分担すると通りやすいです。
配管ハンガ・サポートの標準化はMSS SP-58が扱い、設備耐震の実務は日本のガイドが扱う、という役割分担にすると、設計根拠が整理しやすくなります。
MSS SP-58:配管ハンガ・サポートの材料、設計、製造、選定、適用、施工の標準を示す位置づけ
JAFMEC 設備用耐震版ガイドブック:建築設備設計基準準拠を明示し、アンカー種別など実務項目を扱う
根拠の書き方テンプレ(設計メモ用)
設計判断:高温配管は熱伸びが見込まれるため、固定点と変位許容(スライド等)を組み合わせて配管支持計画を構成する。
根拠:配管ハンガ・サポートの選定・適用の標準としてMSS SP-58を参照する。
耐震・アンカー:設備耐震の考え方とアンカー計画はJAFMECの設備用耐震版ガイドブックに基づき整理する。
典型的な失敗パターンと回避策(熱伸び・固定しすぎ・アンカー計画)
配管支持計画の失敗は「固定しすぎ」「熱伸びの設計不在」「耐震支持とアンカー計画の分離」で起きやすいです。
配管支持装置は、配管自重支持だけでなく、熱変位追従や拘束、地震時振動抑制などの役割を持つため、単一視点で決めると破綻します。
失敗1:Uボルト締結で熱伸びが逃げない
起きる理由:拘束(横揺れ対策)を意識せず、支持(自重)だけで形状を決める
回避策:熱伸び追従(スライド等)とガイドの役割を先に決め、固定点との関係を図にする
失敗2:耐震支持を入れたが、アンカー根拠が弱い
起きる理由:耐震支持の図面表現だけで満足し、アンカー計画を後回しにする
回避策:耐震支持は「支持・拘束+アンカー計画」で成立する前提で、ガイドブック等の根拠を設計メモに残す
FAQ|配管サポートの種類・選び方でよくある質問
Q1. 配管サポートの“種類”は、最初に何から覚えるべきですか?
A. 形状名より先に「機能5分類(支持・拘束・熱伸び・防振・耐震)」を覚える方が早いです。
形状名は手段で、必要機能は要件です。要件が決まると手段が選べます。
Q2. 配管支持計画の根拠は何を参照すると説明しやすいですか?
A. 配管ハンガ・サポートはMSSの規格(SP-58等)、耐震とアンカーは日本のガイド(JAFMEC等)に役割分担すると説明が通ります。
Q3. 防振ハンガを入れる判断はどうすればよいですか?
A. ポンプやファンなどの振動源が近い配管区間では、防振(振動絶縁)を必要機能として明示してから防振ハンガを検討します。
振動源と要求(騒音・振動抑制)を言語化すると判断が安定します。
まとめ & 行動
配管サポート選定を一貫させる結論は、「配管条件→必要機能→代表方式→根拠」の順で設計することです。
配管サポートの種類は形状名で覚えるより、機能(支持・拘束・熱伸び・防振・耐震)で整理すると設計レビューに強くなります。
MSSの規格とJAFMEC等の耐震ガイドを根拠として添えると、配管支持計画の説明責任が果たしやすくなります。
いますぐできる行動(設計メモ化)
配管径・温度・施工箇所・振動源・耐震要求をチェックリスト化する
必要機能(支持・拘束・熱伸び・防振・耐震)を確定する
代表方式を選び、根拠URL(規格・ガイド)を設計メモに添える
[参考文献リスト]
MSS SP-58 — MSS(配管ハンガ・サポートの標準)
ANSI/MSS SP-58-2018 preview — ANSI Webstore(規格体系の確認用)
設備用耐震版ガイドブック(PDF) — JAFMEC(建築設備設計基準準拠を明示)
配管支持金具の種類と特長 — ミスミ 技術情報(形状名の一般整理)
配管支持装置(概念整理の参照) — 製品カタログ(支持・拘束・熱変位・振動等の役割整理)
