配管サポートの種類は多く、「固定と可動の違いは?」「耐震支持はどこまで必要?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
選定を誤ると、施工手戻りや地震時のトラブルにつながるため、基礎理解は欠かせません。
本記事では、設備・配管工事の実務で押さえるべき配管サポートの種類を軸に、支持金具の違い、耐震支持の考え方、支持間隔や計算の要点まで体系的に解説します。
設計・施工の現場経験と各種基準に基づき、図面確認や発注時に役立つ判断軸を整理しました。
効率と安全性を両立した支持設計のヒントを、ぜひ確認してください。
目次
配管サポートの主な種類
配管サポートは「動かさない支持」と「動きを許す支持」で考えると整理しやすいです。
温度伸縮や振動、荷重のかかり方に応じて、固定・可動・ばねを使い分けるのが基本になります。
①固定サポートとして配管を拘束
配管を所定位置に“固定”し、ずれや回転を抑える支持です。
基準点を作れるため、伸縮の逃げ方向をコントロールしやすくなります。
例として、立ち上がり部や機器接続近傍で固定し、他の区間を可動で追従させます。
要所の固定が全体の安定につながります。
②可動サポートとして配管の変位を許容
配管の伸び縮みやたわみに合わせて動ける支持です。
無理に拘束しないので、曲がりや応力集中(力が一点に集まる状態)を抑えやすい利点があります。
例えば、スライド材やローラーで軸方向の移動を許し、吊り点の偏荷重を減らす運用が一般的です。
動きを前提に選ぶのがコツです。
③ばねサポートとして荷重変動を吸収
荷重が運転状態で変わる配管に、ばねの反力で追従させる支持です。
熱伸縮で配管が上下すると、固定吊りでは機器に余計な力が入ることがあります。
ばね吊りなら沈み込み量に応じて支える力が変わり、負担を和らげやすいです。
変動が大きい系統ほど効果が出ます。
配管支持金具の種類と特徴
配管サポートの性能は、使う支持金具によって大きく左右されます。
設置場所や荷重条件を意識して金具の形状を選ぶことで、施工性と安全性を両立しやすくなります。
代表的な3タイプを押さえておくと判断が楽です。
①ブラケット型支持金具を使用
壁や柱に取り付け、配管を横方向から支える金具です。
省スペースで設置でき、比較的軽量な配管に向いています。
例えば、室内配管や短スパン区間では施工が早く、材料点数も抑えられます。
ただし荷重が大きい場合は、アンカー強度の確認が欠かせません。条件に合えば効率的な選択です。
②ハンガー型支持金具を使用
天井から吊り下げて配管を支持する方式です。
高さ調整がしやすく、配管レベルを揃えたい場合に重宝します。
長距離配管では支持間隔を均一に保てるため、たわみ管理が容易です。
一方で、振れやすいため耐震支持や振れ止めとの併用を前提に考える必要があります。
③架台型支持金具を使用
床や梁上に架台を組み、複数本の配管をまとめて支える方法です。
大径配管や重量配管でも安定しやすく、設備エリアで多用されます。
配管更新時に再利用しやすい点も利点です。
その反面、スペースと材料費は増えがちなので、設置場所とのバランスを見て採用することが重要です。
配管支持金具メーカー別の特徴
配管支持金具はメーカーごとに強みや思想が異なります。
性能だけでなく、選定のしやすさや現場対応力も含めて比較すると、設計や発注がスムーズになります。
代表例と比較の考え方を整理します。
ネグロス製配管支持金具を選定
電設・設備分野で採用実績が多く、規格化された部材が揃っている点が特長です。
耐震支持や振れ止めとの組み合わせが想定されており、計算根拠を示しやすい利点があります。
施工例や資料も豊富なので、設計意図を現場へ共有しやすいです。
迷った際の無難な選択肢になりやすいメーカーです。
各社カタログを比較して選ぶ
メーカーによって、対応荷重や調整幅、施工手順が微妙に異なります。
価格だけで決めると、後で部材追加が発生することもあります。
カタログでは「適用範囲」「耐震対応の可否」「取付条件」を重点的に確認しましょう。
用途に合う製品を選ぶことで、設計変更や手戻りを減らせます。
配管耐震支持とは何か
地震時の配管トラブルを防ぐためには、通常支持とは別に「耐震支持」を理解しておく必要があります。
揺れによる転倒や破断を防ぐ考え方を押さえることで、安全性の判断がしやすくなります。
地震時の配管被害を防止
耐震支持は、地震の揺れで配管が大きく動くのを抑えるための支持方法です。
通常のサポートは自重対策が中心ですが、耐震支持は横揺れや上下動を想定します。
例えば、振れ止め材を追加して揺れを制限することで、継手抜けや機器破損を防ぎやすくなります。
被害低減に直結する重要な対策です。
配管耐震支持の種類
耐震支持には配管の重要度や用途に応じた区分があります。
すべて同じ対策を取るのではなく、必要なレベルを見極めることで、安全性とコストのバランスを取りやすくなります。
代表的な区分を整理します。
A種耐震支持として重要配管を守る
A種耐震支持は、病院や防災設備など、停止が許されない配管を対象とします。
大きな地震動でも機能を維持できるよう、支持点数を増やし、強度の高い部材を使用します。
例えば、主幹配管に両方向の振れ止めを設け、変形を最小限に抑えます。
高い安全性を優先する考え方です。
B種耐震支持として一般配管に対応
B種耐震支持は、一般的な建築設備配管を想定した区分です。
A種ほど厳しくはありませんが、転倒や脱落を防ぐ最低限の対策を行います。
代表例として、一定間隔で耐震ブラケットを設け、過度な揺れを抑制します。
用途に応じて合理的に採用するのがポイントです。
耐震支持と振れ止めの違い
現場では「耐震支持」と「振れ止め」が混同されがちですが、役割は明確に異なります。
違いを理解して使い分けることで、過不足のない支持計画を立てやすくなります。
設計目的の違いを理解
耐震支持は、地震時に配管が倒れたり脱落したりしないよう全体を守る考え方です。
一方、振れ止めは配管の揺れ幅を制限する部材を指します。
例えるなら、耐震支持は「安全ルール」、振れ止めは「具体的な道具」です。
目的を整理して選ぶと、無駄な補強を避けられます。
配管耐震支持間隔の考え方
耐震支持は、設ける「位置」だけでなく「間隔」が重要です。
間隔が広すぎると揺れが増幅し、狭すぎると過剰設計になります。
基準を踏まえて合理的に決める視点を押さえます。
基準に基づいて支持間隔を決める
耐震支持間隔は、配管径や重量、用途区分に応じて基準が示されています。
大径・重量配管ほど間隔を短くするのが基本です。
例えば、天井吊り配管では一定スパンごとに耐震支持を追加し、長い揺れ腕を作らないようにします。
基準を起点に、現場条件で微調整する姿勢が重要です。
配管耐震支持計算の基礎知識
耐震支持は「感覚」ではなく、計算で裏付けることで説得力が増します。
難しく感じがちですが、考え方を押さえれば設計判断に役立ちます。
基本要素を整理して確認します。
荷重と地震力を考慮して計算
耐震支持計算では、配管自重に内容物を含めた荷重と、地震時に作用する水平力を考慮します。
支持金具ごとの許容荷重と比較し、安全率を確保する流れです。
例えば、大径配管では地震力が大きくなるため、支持点追加で分散させます。
数値で確認することで、過不足のない設計につながります。
用途・配管径別に見る配管サポートの選び方
配管サポートは「どこに使うか」「どの太さか」で最適解が変わります。
用途と配管径を軸に考えると、選定理由を説明しやすくなり、設計のブレも減らせます。
配管条件に応じて適切に選定
小径配管はブラケットや軽量ハンガーで十分な場合が多いです。
一方、大径配管や内容物が重い系統では、架台やばねサポートが有効になります。
例えば、温水配管は伸縮を考慮し可動支持を多めにします。
条件ごとに役割を整理すると、過不足のない支持計画が立てられます。
設計・施工ミスを防ぐ配管サポート選定のポイント
配管サポートのトラブルは、設計段階の見落としが原因になることが少なくありません。
事前に確認すべきポイントを押さえることで、現場での手戻りを防ぎやすくなります。
図面確認と現場条件を整理
まず、配管ルートと支持位置が図面上で明確かを確認します。
次に、天井高さや梁位置など現場制約を重ねて検討します。例えば、図面通りに吊れない場合は、早めに架台案へ切り替える判断が必要です。
事前整理を徹底することで、施工時の無理な対応を避けられます。
まとめ|配管サポートの種類を理解して適切な支持設計
配管サポートは、固定・可動・ばねといった基本種類に加え、金具形状や耐震区分まで含めて考える必要があります。
用途や配管径、耐震要求を整理して選定すれば、過不足のない支持計画が可能です。
基準や計算を押さえた設計は、施工トラブルや将来の不具合防止にも直結します。
基礎を理解した上で、合理的な支持設計を心がけましょう。
参考
参考までに配管伸縮継手や関連継手を扱うメーカー/サプライヤーと公式URLを挙げておきます。
- 株式会社テクノフレックス https://www.technoflex.co.jp/products/download/pdf/TFL_expansion_joints_2408.pdf
- 株式会社シー・エス・エム https://j-csm.co.jp/products/
- 日本ニューロン株式会社 https://www.neuron.ne.jp/expansion-joint/
- 中日技研工業株式会社 https://www.cgk-flex.co.jp/product/flexible/
- 株式会社オクダソカベ(ベローズ形伸縮管継手)https://www.okuda-sogabe.co.jp/product_fittings/
- A&Aマテリアル株式会社(A&AM Expansion Joints)https://www.aa-material.co.jp/products/ip/joint/index.html
- 南国フレキ工業(ベローズ・伸縮継手) https://www.nfk-jp.com/
- ゼンシン株式会社 https://www.zensin.co.jp/product/expans/
- 株式会社ヨシタケ https://www.yoshitake.co.jp/prod/product_list.php?id=16
