P&ID(配管計装図)に記載された「A1」や「B2」といった配管クラスの記号を見て、「どの材質の配管を使えばよいのか」「配管の肉厚やフランジの仕様はどこで確認するのか」と迷ったことはありませんか?
配管スペック(Piping Specification)とは、配管に使用する材料や部品、その仕様・適用条件などを定めたものです。
Piping Class(配管クラス)は、プロジェクトで定められた配管仕様を識別するために使用されます。
配管クラスの記号だけで材質や肉厚のすべてを判断するのではなく、対応する配管スペック表を確認することが重要です。
本記事では、架空のライン番号「2"-PW-1001-A1」を例に、P&IDから配管スペック表を探し、材質・肉厚・フランジ・バルブなどの仕様を読み解くまでを5STEPで解説します。
この記事でわかること
- 配管スペックとPiping Classの意味・違い
- P&IDのライン番号と配管クラスの読み方
- 配管スペック表の材質・肉厚・圧力クラスの見方
- 配管仕様を確認する5STEPと実務上の注意点
記事の適用範囲について
本記事で使用するライン番号と配管スペック表は、読み方を学ぶための架空例です。実際の配管設計では、承認済みのプロジェクト仕様書、適用規格、設計圧力・温度、材料・部品の適用条件などを確認してください。
エンジニアの知恵袋 編集部
プラント配管設計に関する技術情報を、初心者にも理解しやすい形で解説する技術メディアです。
公開時には、実際の執筆者名、確認可能な配管設計経験・資格・担当業務、プロフィールページへのリンクを掲載してください。技術監修を実施した場合は、実際の監修者と監修範囲も明記します。
1. 配管スペックとは?Piping Classとの関係を初心者向けに解説
配管スペックとPiping Classを理解するためには、まず「配管の仕様を定めること」と「適用する仕様を識別すること」を区別する必要があります。
配管スペックは、使用する配管材料や部品を具体的に指定するための資料です。
一方、Piping Classは、配管の種類や使用条件などに応じて定められた仕様を識別するために使用されます。
1-1. 配管スペック(Piping Specification)とは?
配管スペックとは、特定の配管に適用する材料・部品の仕様や使用上の制限などを定めたものです。
プラントでは、配管が扱う流体、設計圧力、設計温度、腐食条件などに応じて、必要となる材料や配管部品が異なります。
例えば、一般的な水を扱う配管と、高温・高圧の蒸気を扱う配管では、使用する材料や部品に求められる条件が異なります。
配管スペックは、こうした条件を踏まえて使用する配管部品の仕様を整理し、設計・調達・施工における指定内容を統一するために利用されます。
代表的な指定項目は以下のとおりです。
| 項目 | 配管スペックで確認する内容 |
| Pipe(管) | 材料規格、呼び径、肉厚、製造方法など |
| Fittings(継手) | エルボ、ティー、レデューサなどの材料・寸法・接続仕様 |
| Flange(フランジ) | 材料、形状、圧力クラス、座面、接続方式 |
| Gasket(ガスケット) | 材料、形式、寸法、適用条件 |
| Bolting(ボルト・ナット) | 材料規格、強度区分、寸法など |
| Valve(バルブ) | 形式、材料、圧力クラス、端部接続など |
配管スペック表には、上記の部品仕様に加え、適用サイズ、注記、設計条件などが記載される場合があります。
ただし、すべての情報が一つのスペック表に集約されるとは限りません。
設計圧力・温度や流体条件などを、別のラインリストやプロジェクト仕様書で管理する場合もあります。
配管スペック表を読む際は、記載された項目だけでなく、関連資料への参照指示や注記も確認することが重要です。
1-2. Piping Class(配管クラス)とは?
Piping Classとは、配管に適用する仕様を識別するためのクラスです。
例えば、あるプロジェクトで「A1」という配管クラスが定められている場合、「A1」に対応する配管スペック表を確認することで、指定された管・継手・フランジ・バルブなどの仕様を調べられます。
Piping Classと配管スペックの関係

ここで注意したいのは、Piping Classの識別コードに世界共通の意味があるわけではないという点です。
「A1」という記号が何を意味するのかは、各プロジェクトの配管クラス一覧表や仕様書の定義によって異なります。
例えば、プロジェクトによってはコードに材料区分や圧力クラスなどの情報を含める場合があります。
しかし、コードを構成する文字や数字の意味は、実際の命名規則を確認するまで判断できません。
実務での確認ポイント
配管クラスのコードだけで材料や肉厚を決めない。
P&IDに記載された配管クラスを確認したら、まず対応するクラス一覧表と配管スペック表を開きましょう。
1-3. Piping Classとフランジの圧力クラスは何が違う?

配管設計では、Piping Classとは別に、フランジの「Class 150」「Class 300」といった表記が使われます。
両方にClassという言葉が含まれていますが、意味は異なります。
比較表|Piping Classとフランジ圧力クラスの違い
| 比較項目 | Piping Class | フランジ圧力クラス |
| 主な役割 | 適用する配管仕様の識別 | フランジの圧力・温度定格の区分 |
| 表記例 | A1、B2など | Class 150、300など |
| 確認資料 | 配管クラス一覧・配管スペック表 | フランジ仕様・適用規格 |
| 注意点 | コードの意味はプロジェクトごとに確認する | Class番号をそのまま許容圧力として扱わない |
例えば、「Piping Class A1」に対応する配管スペック表で、「ASME B16.5 Class 150」のフランジが指定されている場合を考えてみましょう。
「A1」は、適用する配管仕様を特定するための識別コードです。
一方、「Class 150」は、対象フランジの圧力・温度定格に関係する区分です。
Class 150は、フランジを常に150psiまで使用できるという意味ではありません。
フランジの圧力・温度定格は、材料グループや温度などの条件に応じて確認する必要があります。
ASME B16.5は、対象フランジの圧力・温度定格、材料、寸法、表示、試験などを規定しています。
出典:ASME B16.5 – Pipe Flanges and Flanged Fittings (発行元:ASME)
ポイント
Piping Classは配管仕様を特定するための識別情報、Class 150などはフランジの圧力・温度定格の区分です。両者を混同せず、それぞれの適用条件を確認しましょう。
2. Piping Classの読み方|P&IDのライン番号から仕様表を探す
Piping Classを読み解く第一歩は、P&IDに記載されたライン番号から対象配管のクラスを確認し、対応する配管スペック表を特定することです。
P&IDには配管の接続関係や機器・計装に関する情報が記載されていますが、配管材料や継手、フランジなどの詳細仕様がすべて記載されているわけではありません。
配管の詳細な仕様を確認するには、P&IDと配管クラス一覧表、配管スペック表を関連づけて読む必要があります。
2-1. P&IDとライン番号の基本
P&ID(Piping and Instrumentation Diagram:配管計装図)は、プラント内の機器、配管、バルブ、計装機器などの接続関係や制御・計装上の情報を示す図面です。
P&IDに記載された配管には、対象ラインを識別するためのライン番号(Line Number)が付けられます。
ライン番号の構成は、企業やプロジェクトの設計基準によって異なりますが、一般的には呼び径、流体系統、ライン識別番号、配管クラスなどの情報を組み合わせて使用します。
例えば、P&IDに次のライン番号が記載されている場合を考えてみましょう。

この例では、ライン番号の末尾にある「A1」を配管クラスとして設定しています。
ただし、実際のライン番号では、クラスコードの位置や区切り方が異なる場合があります。
配管クラスがライン番号に含まれず、ラインリストなどの別資料で指定される場合もあります。
ライン番号を正しく読むためには、最初にプロジェクトのライン番号命名規則を確認することが重要です。
2-2. Piping Classの識別コードを読み解く
架空のライン番号「2"-PW-1001-A1」を分解すると、次のようになります。
| 記号 | この架空例での意味 |
| 2" | 呼び径2インチ(NPS 2) |
| PW | プロセス水を表す流体コード |
| 1001 | ライン識別番号 |
| A1 | 配管クラス識別コード |
今回の例では、ライン番号の末尾「A1」が配管クラスです。
配管クラス「A1」に該当する仕様書を調べることで、使用する配管材料や部品の指定を確認します。

ライン番号に呼び径が記載されている場合も、その呼び径が配管スペック表の適用サイズ範囲に含まれているか確認する必要があります。
例えば、今回のライン番号はNPS 2を示していますが、該当する配管スペック表でNPS 2の管や継手が使用可能であることを、対象部品の指定から確認します。
2-3. 配管クラス一覧から該当するスペック表を探す

P&IDから配管クラス「A1」を確認したら、次に配管クラス一覧表(Piping Class Indexなど)を参照します。
配管クラス一覧表は、各配管クラスと対応する仕様書番号や適用条件などを整理した資料です。
例えば、今回の学習用プロジェクトでは、次のようなクラス一覧表があると仮定します。
架空の配管クラス一覧表
| Piping Class | Spec No. | 仕様区分 |
| A1 | PS-A1 | 本記事の演習で使用する配管仕様 |
| B1 | PS-B1 | 別の仕様区分 |
| C1 | PS-C1 | 別の仕様区分 |
※クラスコードと仕様書番号はすべて架空のものです。
今回のライン番号「2"-PW-1001-A1」に適用する仕様書は、クラス一覧表から「PS-A1」であると分かります。
そのため、配管材料やフランジの仕様を確認するには、配管スペック表「PS-A1」を開きます。
実際のプロジェクトでは、以下の情報も確認してください。
- 配管スペック表の正式な文書番号と改訂番号
- 対象ラインへの適用範囲と、関連資料への参照指示
- 承認済みの仕様書であるかどうか
同じクラスコードが記載されていても、プロジェクトや仕様書の改訂版が異なれば、指定内容が変わる可能性があります。

3. 配管スペック表の見方を5STEPで解説|材質・肉厚・フランジを確認

配管スペック表を正しく読むには、配管クラスの確認だけでなく、設計条件、対象サイズ、部品ごとの指定内容を順番に確認することが重要です。
配管スペック表には複数のサイズや部品の仕様が記載されているため、該当するクラスの表を開いただけでは、対象ラインに使用するすべての部品を特定できない場合があります。
ここからは、架空のライン番号「2"-PW-1001-A1」と仕様書「PS-A1」を用いて、実際の確認作業を5STEPで説明します。
配管スペックの読み方 5 STEP
- P&IDから配管クラスを確認する
- 該当する配管スペック表を探す
- 設計条件・適用範囲を確認する
- 対象サイズの配管・部品仕様を確認する
- 設計条件との適合性と不明点を確認する

STEP1|P&IDから配管クラスを確認する
最初に、対象配管のライン番号と配管クラスを確認します。
今回の架空のライン番号は、次のとおりです。

ライン番号の命名規則によれば、末尾の「A1」が配管クラス、先頭の「2"」が呼び径を示しています。
したがって、次の段階では配管クラス「A1」に対応する仕様書を探し、NPS 2に適用する配管部品を確認します。
P&IDとラインリストなどの間で、ライン番号やクラスコードが一致しているかも確認してください。
STEP2|該当する配管スペック表を探す
架空の配管クラス一覧表では、「A1」に対応する仕様書番号は「PS-A1」です。
したがって、配管スペック表「PS-A1」を開き、文書番号、改訂番号、承認状況、適用範囲を確認します。
配管スペック表には、適用する材料や部品のほか、サイズ範囲、接続方式、注記などが記載される場合があります。
配管設計ソフトウェアのAutoCAD Plant 3Dでも、配管スペックを参照して材料、定格、接続条件などの部品情報を管理しています。また、部品ごとに使用可能なサイズ範囲を設定できます。
出典:About Specs in a Piping Model (発行元:Autodesk)オートデスクヘルプ
配管スペック表を開いたら、対象の配管クラスと呼び径について、どの部品が指定されているかを調べます。
同じ配管クラスに複数の部品やサイズが登録されている場合は、対象サイズに適用する行と、その注記を確認する必要があります。
STEP3|設計条件・適用範囲を確認する
配管スペック表を読む際は、対象ラインに適用する設計条件と仕様書の適用範囲を確認します。
主な確認項目は、設計圧力、設計温度、材料区分、設計規格、適用サイズなどです。
配管スペック表の共通条件・適用条件
| 項目 | 意味・確認内容 |
| Design Pressure | 設計圧力。対象配管に適用する圧力条件 |
| Design Temperature | 設計温度。対象配管に適用する温度条件 |
| Material Class | 配管材料の区分や指定 |
| Design Code | 適用する配管設計規格 |
| Size Range | 配管仕様が適用される呼び径の範囲 |
| Notes / Restrictions | 注記、適用制限、例外事項 |
今回の架空の配管スペック表「PS-A1」では、説明を簡潔にするため、具体的な設計圧力・温度を設定していません。
実際の設計では、対象ラインの設計圧力・温度が、ラインリストやプロジェクト仕様などで指定されている場合があります。
配管スペック表と関連する設計資料を照合し、必要な設計条件を確認してください。
なお、設計圧力・温度と通常運転時の圧力・温度は、必ずしも同じ値ではありません。
設計条件を確認する際は、通常運転時の条件だけでなく、該当プロジェクトの設計基準に従って指定された条件を確認する必要があります。
また、設計規格としてASME B31.3などが指定されている場合は、プロジェクトが採用する版と、対象配管への適用範囲を確認します。
ASME B31.3は、プロセス配管について、材料・部品、設計、製作、組立、検査、試験などの要求事項を扱う規格です。
出典:ASME B31.3 – Process Piping (発行元:ASME)
STEP4|対象サイズの配管・部品仕様を確認する
配管スペック表の共通条件を確認したら、次に対象サイズの配管と各部品の仕様を読み解きます。
今回のライン番号は「2"-PW-1001-A1」であるため、呼び径NPS 2に適用する部品を確認します。
まず、架空の配管スペック表「PS-A1」を見てみましょう。

配管スペック表は、管、継手、フランジ、ガスケット、ボルト、バルブなどの部品ごとに確認する必要があります。
それぞれの読み方を説明します。
① Pipe Material|配管材質の読み方
架空の配管スペック表では、Pipe Materialの欄に「ASTM A106 Gr.B」と記載しています。
ASTM A106は、高温用途を含む使用を想定した継目無炭素鋼鋼管の材料仕様を定める規格です。「Gr.B」は、その規格における材料のグレードを表します。
配管材料を確認する際は、材料規格とグレードをセットで読み取ります。
ただし、管の材質がASTM A106 Gr.Bと指定されていても、継手、フランジ、バルブがすべて同じ材料規格になるわけではありません。
各部品には、製品形状や製造方法などに応じて異なる材料規格が指定される場合があります。
したがって、配管の材料欄だけを確認して、すべての部品の材質を決めつけないようにしてください。
② Pipe Schedule|配管肉厚の読み方
架空の配管スペック表では、Pipe Scheduleの欄に「Sch.40」と記載しています。
Sch.(Schedule)は、配管の肉厚を区分するための番号です。
Sch.40とは、肉厚が40mmという意味ではありません。
配管の公称肉厚は、呼び径とSch.の組み合わせに対応する寸法規格から確認します。
例えば、今回の架空例では、NPS 2の鋼管にSch.40が指定されています。
対象管がASME B36.10の寸法体系に従う場合、NPS 2・Sch.40に対応する公称肉厚を、該当する寸法表から確認します。
ASME B36.10は、溶接鋼管と継目無鋼管の寸法を標準化する規格です。
出典:ASME B36.10 – Welded and Seamless Wrought Steel Pipe (発行元:ASME)
なお、同じSch.番号であっても、呼び径が異なれば公称肉厚が異なる場合があります。
また、Sch.は管の寸法指定であり、Sch.番号だけで配管の許容圧力や設計適合性を判断できるわけではありません。
実際の設計では、材料、設計圧力・温度、適用規格、腐れ代、製造公差など、対象配管に適用する条件を確認する必要があります。
③ Flange|フランジ仕様の読み方
架空の配管スペック表では、フランジについて次のように記載しています。

ASME B16.5は、対象となる管フランジとフランジ付き継手について、圧力・温度定格、材料、寸法、表示、試験などを規定する規格です。
Class 150やClass 300などの圧力クラスは、フランジの材料および温度に応じた定格を確認する際に使用されます。
出典:ASME B16.5 – Pipe Flanges and Flanged Fittings (発行元:ASME)
また、「RF」はRaised Faceの略で、ガスケットが接するフランジ座面の形式を示します。
ただし、「ASME B16.5 / Class 150 / RF」という情報だけでは、実際に使用するフランジのすべての仕様を特定できません。
実務では、フランジの材料、呼び径、形状、管との接続方法なども確認します。
例えば、溶接ネックフランジ(Welding Neck)、スリップオンフランジ(Slip-on)など、フランジの種類によって構造や接続方法が異なります。
また、フランジに接続する管の肉厚に合わせた端部仕様が必要になる場合があります。
フランジの規格・Class・座面だけでなく、対象ラインに適用するフランジの種類と接続条件を確認してください。
④ Fittings|継手の仕様の読み方
Fittings(継手)は、配管の方向を変えたり、分岐させたり、管径を変更したりするための部品です。
代表的な継手には、次のようなものがあります。
Elbow
方向変更
Tee
配管分岐
Reducer
管径変更
代表的な配管継手の外観イメージ
エルボ、ティー、レデューサなどについては、配管スペック表から次の項目を確認します。
| 確認項目 | 内容 |
| 材料 | 適用する材料規格・グレード |
| 寸法 | 呼び径、肉厚、適用する寸法規格 |
| 形式 | エルボの角度、レデューサの形状など |
| 接続方式 | 突合せ溶接、差込み溶接、ねじ込みなど |
| 適用範囲 | 対象サイズ、分岐条件、注記 |
例えば、対象ラインがNPS 2である場合、NPS 2に対応するエルボやティーの仕様を確認します。
ただし、分岐部や異径接続部では、主管と分岐管・接続管でサイズが異なります。そのため、分岐表(Branch Table)や個別の配管スペックの指定も確認する必要があります。
⑤ Gasket / Bolting|ガスケットとボルトの読み方
フランジ接続部では、フランジ本体だけでなく、ガスケット、ボルト、ナットなどの仕様も確認します。
ガスケットは、フランジ接続部の密封に使用する部品です。
ガスケットの選定に必要な項目には、材料、形式、寸法、圧力・温度条件、流体との適合性などがあります。
ボルト・ナットについても、材料、寸法、強度区分などの指定を確認する必要があります。
例えば、配管スペック表にClass 150のRFフランジが記載されていても、その情報だけでガスケットやボルトの仕様がすべて決まるわけではありません。
プロジェクトの配管スペック表や関連する部品仕様書に記載された指定を確認してください。
⑥ Valve|バルブの仕様の読み方
バルブは、流体の遮断、流量調整、逆流防止などに使用する部品です。
代表的なバルブには、ゲートバルブ、グローブバルブ、ボールバルブ、チェックバルブなどがあります。
配管スペック表では、バルブの種類だけでなく、材料、圧力クラス、端部接続、適用サイズなどの情報を確認します。
バルブの主な確認項目
| 項目 | 確認する内容 |
| Valve Type | ゲート、グローブ、ボール、チェックなど |
| Material | 本体・主要内部部品などの材料指定 |
| Rating | 圧力・温度定格の区分 |
| End Connection | フランジ接続、溶接接続、ねじ込みなど |
| Size Range | 対象バルブの呼び径の範囲 |
| Notes | 流体条件、操作方式、特殊仕様など |
ASME B16.34は、対象となるバルブについて、圧力・温度定格、材料、寸法、試験、表示などの要求事項を規定しています。
出典:ASME B16.34 – Valves: Flanged, Threaded, and Welding End (発行元:ASME)
バルブの仕様を確認する際は、管やフランジの指定だけから使用可能なバルブを判断しないようにしてください。
特に、バルブの形式、端部接続、シート・シール材などは、対象流体や使用条件によって確認が必要となる項目です。
STEP4のまとめ
配管スペック表では、対象呼び径の管・継手・フランジ・ガスケット・ボルト・バルブの仕様を部品ごとに確認します。
材料や圧力クラスなどを一つの部品から推測して、ほかの部品へそのまま適用しないことが重要です。
STEP5|設計条件との適合性と不明点を確認する
配管スペック表から必要な情報を読み取ったら、最後に、配管仕様が対象ラインの設計条件に適用できるかを確認します。
配管スペック表の内容を理解できたことと、実際の配管設計が成立していることは同じではありません。
例えば、今回の架空例では、管材としてASTM A106 Gr.B、肉厚区分としてSch.40、フランジとしてASME B16.5 Class 150が記載されています。
しかし、設計圧力・温度やガスケット・バルブなどの仕様が未確定であるため、この組み合わせが実際の対象ラインに適合するかどうかは判断できません。
実際のプロジェクトでは、少なくとも次の項目を確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
| 設計条件 | 対象ラインの設計圧力・温度、流体条件 |
| 材料 | 流体・温度・設計条件に適用できる材料か |
| 管の肉厚 | 設計条件や腐れ代などに対して適切か |
| フランジ | 材料・温度に対応する圧力・温度定格を満足するか |
| 継手・バルブ | サイズ、材料、定格、接続方式が適切か |
| 接続部 | ガスケット、ボルト、接続方式などの指定が整合しているか |
| 適用規格 | プロジェクトで採用した設計規格や製品規格に適合するか |
| 文書管理 | 最新の承認済み仕様書・図面を使用しているか |
ASME B31.3はプロセス配管の材料・部品、設計、製作、検査、試験などを扱います。配管の適合性を確認する際は、プロジェクトに適用される設計規格の要求事項を確認する必要があります。
出典:ASME B31.3 – Process Piping (発行元:ASME)
また、配管スペック表の指定とP&IDやラインリストの内容が一致しない場合は、どの資料のどの項目に相違があるのかを整理し、設計責任者へ確認してください。
仕様の不一致を、設計担当者の判断だけで修正したり、別の部品へ変更したりしないことが重要です。
4. 配管スペックを読むときの注意点|間違えやすい5つのポイント
配管スペック表を読む際は、個々の項目の意味だけでなく、対象ラインへの適用条件や部品同士の関係にも注意が必要です。
特に、Piping Classの識別コード、フランジの圧力クラス、配管のSch.は、それぞれ異なる意味を持っています。
実務で注意したい5つのポイントを確認しましょう。
4-1. Piping Classのコードだけで材質を判断しない
Piping Classの識別コードは、プロジェクトごとに定義されるため、コードに含まれる英字や数字だけで配管材質を決めつけないようにしてください。
例えば、架空のコード「A1」を見て「Aは炭素鋼を意味する」と推測することはできません。
対象プロジェクトのクラス一覧や仕様書を確認し、コードの意味と対応する配管仕様を特定する必要があります。
確認方法: 配管クラスの凡例・命名規則を確認し、対象コードに対応する配管スペック表を開く。
4-2. フランジのClass番号を許容圧力と混同しない
ASME B16.5のClass 150やClass 300は、フランジの圧力・温度定格に関係する区分です。
Class 150を「150psiまで使用可能」と解釈したり、Class 300なら常にClass 150の2倍の圧力まで使用できると判断したりすることは適切ではありません。
フランジの適用可否は、対象材料と設計温度に対応する圧力・温度定格を確認する必要があります。
出典:ASME B16.5 – Pipe Flanges and Flanged Fittings (発行元:ASME)
確認方法: フランジの材料、圧力クラス、設計温度、適用規格を確認し、該当する圧力・温度定格と照合する。
4-3. 同じ配管クラスでもサイズごとに肉厚・部品仕様を確認する
同じPiping Classに属する配管でも、呼び径によって適用する管の肉厚区分や継手の種類、接続方法などが異なる場合があります。
例えば、ある配管クラスでNPS 2にはSch.40の管が指定されていても、同じクラスの別の呼び径にSch.40が指定されているとは限りません。
配管クラスだけでなく、対象呼び径に適用される管・継手・フランジ・バルブの仕様を個別に確認しましょう。
4-4. 配管クラスの変更位置(Class Break)を見落とさない
配管系統では、接続する機器の条件やプロセス上の要求などに応じて、配管クラスが途中で変更される場合があります。
このような配管クラスの変更境界は、Class Breakと呼ばれます。
例えば、同じP&IDに接続される配管であっても、ある区間にはクラスA1、別の区間にはクラスB1が適用される場合があります。
配管クラスが変更される位置や接続部の仕様を確認しないまま、一つのクラスの部品を系統全体に適用しないようにしてください。
確認方法: P&IDのクラス変更表示、ライン番号、ラインリスト、関連図面、プロジェクトの設計ルールを照合する。
4-5. 配管スペック表の改訂番号と例外事項を確認する

配管スペック表は、設計条件の変更や材料・部品の見直しなどにより、改訂される場合があります。
以前の業務で使用した配管スペック表が、現在のプロジェクトでも有効とは限りません。
仕様書を確認する際は、文書番号だけでなく、改訂番号、承認状況、適用範囲、注記、例外事項なども確認してください。
確認方法: プロジェクトの文書管理システムなどから、現在適用する承認済みの仕様書と関連図面を確認する。
比較表|配管スペックで間違えやすい項目と正しい確認方法
| よくある誤解 | 正しい確認方法 |
| A1などのクラスコードには共通の意味がある | プロジェクトの命名規則を確認する |
| Class 150は150psiまで使用可能 | 材料・温度に応じた定格を確認する |
| 同じクラスならすべて同じSch. | 対象呼び径ごとの指定を確認する |
| 同じ系統なら配管クラスも同じ | クラス変更位置を確認する |
| 手元の仕様書はそのまま使用できる | 改訂番号と承認状況を確認する |
5. 配管スペックの確認チェックリスト|実務で使う前に確認したい項目
配管スペックの読み方を理解したら、実際のプロジェクト資料を使って仕様確認の手順を実践してみましょう。
P&ID、ラインリスト、配管クラス一覧、配管スペック表を照合し、必要な情報を順番に確認します。
配管スペック確認チェックリスト
- P&ID・ラインリストから対象配管と配管クラスを特定した
- 該当する配管スペック表の適用範囲・改訂番号・承認状況を確認した
- 設計圧力・温度などの設計条件と注記を確認した
- 対象呼び径の管・継手・フランジ・ガスケット・ボルト・バルブの仕様を確認した
- 不明点・不一致・例外事項を整理し、設計責任者への確認事項を明確にした
配管スペックの確認で不明点が見つかった場合は、曖昧なまま設計を進めず、どの資料のどの指定が不明なのかを整理してください。
例えば、「配管クラスA1のNPS 2のフランジについて、仕様表にはClass 150と記載されているが、適用するフランジ材料と接続形式が確認できない」といった形で質問を具体化すると、必要な情報を確認しやすくなります。
また、配管スペック表に記載されていない部品やサイズを使用する必要がある場合は、プロジェクトの設計基準に従い、適切な承認手続きを確認してください。
配管スペックの確認チェックリストは、設計審査や安全性の検証を代替するものではありません。
配管の設計・施工に適用する際は、該当プロジェクトの設計責任者による確認と必要な承認を受けてください。
6. 配管スペック・Piping Classのよくある質問
Q1. 配管スペックとPiping Classは同じ意味ですか?
配管スペックとPiping Classは密接に関連する概念ですが、厳密には役割が異なります。
配管スペックは、配管に適用する材料や部品の仕様などを定めたものです。
Piping Classは、プロジェクト内で適用する配管仕様を識別するためのクラスです。
実務では、配管スペックとPiping Classを近い意味で使用する場合もありますが、配管の仕様を確認する際は、対象クラスに対応する仕様書を特定することが重要です。
Q2. Piping ClassのA1やB1には共通の意味がありますか?
Piping Classの識別コードに、すべてのプロジェクトで共通する意味があるわけではありません。
企業やプロジェクトごとに、材料区分、圧力クラス、流体条件などを考慮した独自の識別コードを設定する場合があります。
A1やB1などの意味を確認する際は、対象プロジェクトの配管クラス一覧表、命名規則、配管スペック表を参照してください。
Q3. Piping ClassとフランジのClass 150は同じものですか?
Piping ClassとフランジのClass 150は異なる概念です。
Piping Classは配管仕様を識別するためのクラスです。一方、ASME B16.5のClass 150は、フランジの圧力・温度定格に関係する区分です。
Class 150という番号を、そのまま使用可能圧力と解釈しないようにしてください。
フランジの適用可否は、材料、温度、対象部品の仕様などを確認して判断する必要があります。
Q4. 同じPiping Classなら、すべての配管で同じSch.を使用しますか?
同じ配管クラスでも、対象の呼び径によってSch.や部品仕様が異なる場合があります。
Sch.は管の肉厚区分であり、同じSch.番号でも呼び径によって公称肉厚が異なる場合があります。
配管スペック表では、対象サイズに適用する管の肉厚区分を確認し、必要に応じて該当する寸法規格から公称肉厚を調べてください。
Q5. P&IDに配管クラスが記載されていない場合はどうしますか?
P&IDに配管クラスが記載されていない場合は、ラインリストや関連する設計資料を確認してください。
配管クラスの指定方法は、プロジェクトの図面・文書管理ルールによって異なります。
P&IDのライン番号から配管クラスを読み取れない場合でも、ラインリストや仕様書に対象ラインの情報が記載されている場合があります。
該当する資料を確認しても配管クラスを特定できない場合は、配管設計担当者や設計責任者に確認しましょう。
Q6. 配管スペック表だけで配管の設計は完了しますか?
配管スペック表を確認しただけでは、配管の設計は完了しません。
配管スペック表は、配管材料や部品の仕様などを確認するための重要な資料ですが、実際の設計では、設計圧力・温度、配管レイアウト、配管肉厚、荷重、熱膨張、支持方法、機器との接続条件なども検討する必要があります。
例えば、ASME B31.3はプロセス配管の材料・部品や設計、製作、検査、試験などの要求事項を扱っています。
出典:ASME B31.3 – Process Piping (発行元:ASME)
配管スペック表の確認は、配管設計に必要な作業の一つとして位置づけ、適用する設計規格やプロジェクト仕様に基づいて、必要な検証を実施してください。
7. まとめ|配管スペックは5 STEPで読み解こう

配管スペック(Piping Specification)は、配管に使用する材料や部品、その仕様・適用条件などを定めたものです。
Piping Classは、対応する配管仕様を識別するために使用されます。
P&IDに記載された配管クラスの記号だけで使用する部品を判断するのではなく、配管クラス一覧や配管スペック表を参照し、対象サイズの材料・肉厚・フランジ・バルブなどの仕様を確認することが重要です。
配管スペックの読み方5STEP
- P&IDで配管クラスを確認する
対象ラインのクラスコードを特定する。 - 該当する配管スペック表を探す
クラス一覧から対応する仕様書を確認する。 - 設計条件・適用範囲を確認する
設計圧力・温度、適用規格、注記などを確認する。 - 対象サイズの部品仕様を読む
管・継手・フランジ・ガスケット・バルブなどの指定を確認する。 - 設計条件との適合性と不明点を確認する
関連資料と照合し、必要な事項を設計責任者に確認する。
配管スペック表を読み解くために、すべてのクラスコードを暗記する必要はありません。
重要なのは、対象ラインに適用する配管クラスを特定し、必要な資料を探して、材料・部品の仕様を確認できるようになることです。
まずは、実際のプロジェクトのP&IDと承認済みの配管スペック表を開き、担当ラインの仕様を5STEPに沿って確認してみましょう。
配管スペックの読み方を身につけたら、次は配管肉厚、熱膨張、配管応力解析、配管サポートなどの設計知識へと学習を広げていきましょう。
参考文献・参照資料
本記事の技術的な説明では、以下の規格発行機関およびソフトウェア開発元の公式資料を参照しています。
| 参考資料 | 発行元 | 主な参照内容 |
| ASME B31.3 – Process Piping | ASME | プロセス配管の設計規格と対象範囲 |
| ASME B16.5 – Pipe Flanges and Flanged Fittings | ASME | フランジの圧力・温度定格、材料・寸法など |
| ASME B36.10 – Welded and Seamless Wrought Steel Pipe | ASME | 鋼管の寸法規格 |
| ASME B16.34 – Valves: Flanged, Threaded, and Welding End | ASME | バルブの圧力・温度定格、材料、寸法など |
本記事は、配管スペックとPiping Classの基本概念および仕様表の読み方を解説する技術学習用コンテンツです。
規格の公式紹介資料は、規格本文のすべての要求事項を示すものではありません。
実際の配管設計・製作・検査などでは、対象プロジェクトに適用する規格の正式な版と関連仕様書を確認してください。