配管応力解析を始めると、Sc・Sh・SAという似た記号がたくさん出てきます。
「ScとShは何が違う?」
「SAも許容応力なら、Shとの違いは?」
「なぜSUSはSh、EXPはSAと比較するの?」
このあたりで混乱する人は少なくありません。
結論からいうと、Sc・Sh・SAは次のように整理すると理解しやすくなります。
- Sc:対象となる変位サイクルの最低金属温度側における基本許容応力
- Sh:対象となる変位サイクルの最高金属温度側における基本許容応力
- SA:熱膨張などによる変位応力範囲に対する許容値
そして実際の配管応力解析では、まず次の関係を押さえてください。
SUS → SL → Sh
EXP → SE → SA
Sc・Sh・SAを3つの記号として丸暗記するより、**「荷重 → 応力 → 許容値」**の流れで覚えたほうが、CAESAR IIやAutoPIPEなどの解析結果も理解しやすくなります。
ASME公式では、現行のProcess Piping規格としてASME B31.3-2024が掲載されており、石油精製、化学、医薬、発電、半導体、極低温設備など幅広いプロセス配管を対象としています。
この記事のポイント
自重・内圧などの持続荷重 → SUS → SL → Sh
熱膨張などの変位荷重 → EXP → SE → SA
ScとShはSAを決めるための基本許容応力でもあります。

技術上の注意
本記事はASME B31.3の考え方を初心者向けに整理した解説です。実際の設計では、必ずプロジェクトで指定されたCode・Edition・材料・温度・設計条件を確認してください。
配管の許容応力とは?まず材料強度との違いを理解しよう

許容応力とは、配管を設計するときに使用できる応力の上限値です。
材料には「引張強さ」や「降伏強さ」があります。
しかし、配管設計で材料が壊れる直前まで応力を許容するわけではありません。
規格では材料強度や温度などを考慮し、設計に使用するための**基本許容応力(Basic Allowable Stress)**を定めています。
許容応力は「設計で使ってよい応力の上限」
例えば材料について考えると、次の3つは意味が異なります。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 引張強さ | 材料を引っ張ったときの破断に関係する強度 |
| 降伏強さ | 材料が大きな塑性変形を始める強度 |
| 許容応力 | 規格に基づき設計で許容される応力 |
つまり、材料が持っている強度 ≠ 設計でそのまま使ってよい応力です。
安全な配管設計では、材料強度そのものではなく、採用する設計規格に基づいた許容応力を使用します。
配管の許容応力は材料・温度・規格で変わる
許容応力は材料だけで一意に決まる値ではありません。
配管設計では主に、
- 材料
- 金属温度
- 採用する設計規格
- Code Edition
を確認する必要があります。
伊藤忠テクノソリューションズの技術解説でも、基本許容応力は安全設計のため各規格で設定される値であり、同じ材料でも設計規格や年版によって値が異なる場合があると説明されています。
したがって、インターネットで「SUS304 許容応力 ○○MPa」と見つけても、その数値をそのまま設計に使用するのは適切ではありません。
「どのCodeの何年版で、何℃の値なのか」まで確認することが重要です。
専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 許容応力の数値を見る前に、まず解析モデルのCode・Edition・Material・Temperatureを確認してください。
同じ材料名でも、採用規格や年版が違えば基本許容応力が変わる場合があります。解析結果のStress Ratioだけを見るのではなく、「どの許容値を基準に判定しているか」を確認する習慣が重要です。
ASME B31.3では材料の基本許容応力をAppendix Aで確認する
ASME B31.3では、一般的な材料についてAppendix Aの材料表などから基本許容応力を確認します。
若手設計者が最初に意識したいのは、「許容応力の数値そのものを暗記しない」ことです。
重要なのは、材料 × 温度 × Code Editionから適切な値を選択できることです。
Sh・Sc・SAの違い|3つを同じ「許容応力」と考えない
Sh・Sc・SAで最も重要なのは、3つを同じ種類の許容応力として扱わないことです。
ScとShは材料のBasic Allowable Stressです。
一方、SAは熱膨張などのDisplacement Stress Rangeを評価するための許容値です。
Scとは?最低温度側の基本許容応力
Scは、対象となる変位サイクルで想定される最低金属温度におけるBasic Allowable Stressです。
一般的な「常温で据付→高温で運転」という配管なら、ScをCold側の許容応力と考えると理解しやすいでしょう。
ただし、Sc=必ず常温の許容応力と固定して覚えるのは正確ではありません。
ASME B31.3では、Scは対象となる変位サイクル中の最低金属温度側で決まる考え方です。
2024版の公開テキストでも、ScとShはそれぞれ対象変位サイクルの最低・最高金属温度に対応する許容応力として示されています。
例えば極低温配管では、運転状態がCold側になる可能性があります。
そのため、Sc=Cold sideと理解したうえで、実案件では温度条件を確認するのが正しい考え方です。
Shとは?最高温度側の基本許容応力
Shは、対象となる変位サイクルで想定される最高金属温度におけるBasic Allowable Stressです。
一般的な高温配管では、
- 据付状態:低温側 → Sc
- 運転状態:高温側 → Sh
となるため、
Sh=Hot側の許容応力
と考えると理解しやすくなります。
Shは後述するSustained Stressの評価にも使用します。
つまりShには、
- 高温側の基本許容応力
- Sustained Stressを評価する基準
- SAを算定する基礎値
という役割があります。
SAとは?熱膨張による変位応力範囲の許容値

SAはAllowable Displacement Stress Rangeです。
日本語では「許容変位応力範囲」などと表現できます。
ここで重要なのは、SAはShやScと同じ意味の材料許容応力ではないという点です。
Sc・Shは材料・温度から決まるBasic Allowable Stressです。
一方、SAはSc・Shに加えて、温度サイクルなどを考慮するStress Range Factor fを使って求めます。
ASME B31.3-2024では、計算された変位応力範囲SEが許容変位応力範囲SAを超えないことを要求する構造になっています。
基本式は次のとおりです。
SA = f ( 1.25 Sc + 0.25 Sh )
したがって、
Sc・Sh=材料側の基本許容応力
SA=配管系の変位応力範囲を判定する許容値
と分けて理解すると混乱しません。
比較表: Sc・Sh・SAの違い
| 項目 | Sc | Sh | SA |
|---|---|---|---|
| 正式な位置づけ | Basic Allowable Stress | Basic Allowable Stress | Allowable Displacement Stress Range |
| 主な意味 | 最低温度側の基本許容応力 | 最高温度側の基本許容応力 | 変位応力範囲の許容値 |
| 温度との関係 | Cold側 | Hot側 | Sc・Shを基礎に算定 |
| SUS評価 | ― | 使用 | ― |
| EXP評価 | ― | ― | 使用 |
| SA算定 | 使用 | 使用 | ― |
※「SUS評価=Sh」「EXP評価=SA」は初心者向けの基本整理です。実際のコード評価は荷重ケースや適用規定を確認してください。
SUSはSh・EXPはSA|配管応力解析ではこう使い分ける

配管応力解析では、まず何の荷重によって発生した応力なのかを考えることが重要です。
最初からSc・Sh・SAを見ても分かりにくいため、
荷重 → 解析ケース → 応力 → 許容値
の順に考えてみましょう。
まず荷重を「持続荷重」と「変位荷重」に分ける
代表的な持続荷重には、
- 配管自重
- 流体重量
- 保温材重量
- 圧力による長手方向応力
などがあります。
配管応力解析では、こうした持続荷重を**SUS(Sustained)**として評価します。
基本的な流れは、
Weight・Pressureなど → SUS → SL → Sh
です。
一方、配管が加熱されて熱膨張すると、アンカーや機器ノズルなどの拘束によって変位応力が発生します。
熱膨張などの変位荷重は、
Thermal Expansion → EXP → SE → SA
という流れで評価します。
SUSはShと比較する
持続荷重による応力SLは、基本的に最高温度側の基本許容応力Shと比較します。
SL ≦ Sh
ASME B31.3の公開テキストでも、持続荷重によるSLがShを超えないという評価構造が確認できます。
初心者向けに言い換えると、
「自重や内圧など、運転中にかかり続ける荷重による応力が、材料の許容範囲内かを見る」
という評価です。
解析ソフトでは、SUS → Code Stress → Allowable Stress → Ratioの順に結果を見ると理解しやすくなります。
EXPはSAと比較する
熱膨張などによる変位応力範囲SEは、許容変位応力範囲SAと比較します。
SE ≦ SA
ASME B31.3-2024でも、computed displacement stress range SEは、allowable displacement stress range SAを超えないことが規定されています。
したがって、
EXPの熱応力をShと直接比較して合否判定するわけではありません。
ここは配管応力解析を学び始めたときに、特に混乱しやすいポイントです。
なぜ熱応力はShではなくSAで評価するのか?
理由は、自重・内圧と熱膨張では応力が発生する仕組みが異なるからです。
自重は配管自身の重量によって発生します。
配管が少し変形したからといって、自重そのものがなくなるわけではありません。
一方、熱膨張による応力は、配管が温度変化によって伸びようとする変位を、アンカーやサポートなどが拘束することで発生します。
例えば配管の両端が完全に自由なら、配管は温度上昇によって伸びても大きな熱応力は発生しません。
しかし両端を強固に固定すると、自由に伸びられなくなるため熱応力が発生します。
つまり、
自重・内圧 → 荷重そのものが作用する
熱膨張 → 変位を拘束することで応力が発生する
という違いがあります。
そのためASME B31.3では、熱膨張などの変位応力について、単純なHot側の基本許容応力Shではなく、**変位応力範囲SEと許容変位応力範囲SA**によって評価します。
さらに配管は、
停止 → 昇温 → 運転 → 冷却 → 停止
という温度変化を繰り返します。
そのため変位応力の評価では、単なる瞬間的な応力値だけではなく、繰返しサイクルも重要になります。
「熱応力がShを超えた=NG」ではない
例えば、
Sh = 130 MPa- 熱膨張による
SE = 180 MPa
だったとします。
ここで、
180 MPa > 130 MPaだからNG
と判断するのは適切ではありません。
EXPの評価では、
SE ≦ SA
を確認するからです。
例えばSA = 205 MPaなら、
180 < 205
となり、少なくとも変位応力範囲のコードチェック上は許容範囲内となります。
ただし、配管設計ではStress Ratioだけでなく、
- 配管変位
- サポート反力
- アンカー荷重
- 機器ノズル荷重
なども確認する必要があります。
「Code StressがOK=配管系全体が必ず問題なし」ではありません。
専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: EXP結果を見るときは、熱応力をShと直接比較しないでください。EXPではまずSE/SAを確認します。
ShとSAを同じ種類の許容値として考えると、「熱応力がShを超えているのになぜOKなのか?」という混乱が起こります。SUSとEXPでは評価対象そのものが異なる、と整理すると理解しやすくなります。
SAはどう決まる?Sc・Sh・サイクル数との関係

SAはScとShを基礎に、繰返し回数を考慮して決まります。
ASME B31.3-2024に示される基本形は次のとおりです。
SA = f ( 1.25 Sc + 0.25 Sh )
それぞれの記号は、
SA:Allowable Displacement Stress RangeSc:最低金属温度側のBasic Allowable StressSh:最高金属温度側のBasic Allowable Stressf:Stress Range Factor
です。
数式だけを見ると難しそうですが、考え方はシンプルです。
「Cold側とHot側の材料許容応力を基礎に、温度サイクルによる疲労の影響を考慮してEXP用の許容範囲を決める」
という式です。
Stress Range Factor fとは?
fはStress Range Factorです。
設計寿命中の等価フル変位サイクル数Nに応じて、許容変位応力範囲を調整します。
ASME B31.3-2024では、
f = 20N^{-0.333} ≦ fm
という関係が示されています。
ここで重要なのは、式を暗記することではありません。
例えば配管が、
- 停止状態
- 加熱
- 高温運転
- 冷却
- 停止状態
というサイクルを繰り返せば、配管には膨張と収縮が繰り返し発生します。
そのため、「何MPa発生するか」だけでなく「何回繰り返すか」も重要になります。
2020版以前と2022版以降ではfの式が違う
ここは実務で注意したいポイントです。
ASME B31.3-2020ではStress Range Factorの式として旧式が使用されていましたが、2022 Editionでは20N^-0.333へ変更されています。
2022版の公開テキストでも新しい式が確認でき、2024版でも同じ形が確認できます。
つまり、古い解説記事を参照すると、現在のEditionとは異なるfの式が掲載されている可能性があります。
配管応力解析ではCode Editionの確認が重要なのは、このような理由からです。
Liberal Stressとは?
SAには、もう一つ知っておくと便利な考え方があります。
基本式は、
SA = f ( 1.25 Sc + 0.25 Sh )
ですが、Sh > SLの場合には、持続荷重側で使われていない余裕を考慮した式も使用できます。
SA = f [ 1.25 ( Sc + Sh ) - SL ]
ASME B31.3-2024でも、ShがSLより大きい場合に未使用分をSA側へ反映できる式が示されています。
配管応力解析の実務では、このような考え方をLiberal Stressと呼ぶことがあります。
初心者の段階では、
「SUS側に余裕がある場合、その余裕を条件付きでEXP側の許容範囲へ反映できる」
程度に理解しておけば十分です。
まずは、
SUS → Sh
EXP → SA
という基本関係を理解することを優先してください。
Sh・Sc・SAで初心者が間違えやすい5つのポイント

1.Sc=常温、Sh=運転温度と固定して覚える
一般的な高温配管では、
Sc=常温側、Sh=運転温度側
となることが多いため、入門用の覚え方としては便利です。
しかしASME B31.3の厳密な考え方は、
Sc:対象変位サイクル中の最低金属温度Sh:対象変位サイクル中の最高金属温度
です。
極低温配管などでは単純な「Cold=据付」「Hot=運転」という関係にならない可能性があります。
2.ShとSAを同じ種類の許容応力だと思う
ShとSAは役割が違います。
Sh=Basic Allowable Stress
SA=Allowable Displacement Stress Range
です。
名称に「Allowable」が含まれるため混同しやすいですが、同じものではありません。
3.EXPをShと比較してしまう
初心者が最も覚えておきたい関係は、
SUS → SL → Sh
EXP → SE → SA
です。
熱膨張によるEXP結果をShと直接比較するのではなく、変位応力範囲SEと許容変位応力範囲SAを比較します。
4.解析ソフトのStress Ratioだけを見る
CAESAR IIやAutoPIPEが「OK」と表示しても、入力条件が間違っていれば正しい評価にはなりません。
最低限、
- Code
- Edition
- Material
- Temperature
- Pressure
- Load Case
- Support Condition
- Unit
を確認してください。
5.インターネット上の許容応力値をそのまま使う
CTCの技術解説でも、同じ材料であっても採用する規格や年版によって基本許容応力が変わる可能性が指摘されています。
さらに、誤った材料ライブラリを使用すると非安全側の評価になるケースも説明されています。
したがって、ネット上の許容応力値ではなく、プロジェクト指定Code Editionを確認することが基本です。
Sh・Sc・SAを実例で計算してみよう

ここまでの内容を、具体的な数字で確認してみましょう。
ASME B31.3の計算例として公開されている条件では、
Sc = 138 MPaSh = 130.8 MPaf = 1.00
という値が使われています。2022版のAppendix S例では、この条件からSAを205.2 MPaと算出しています。
基本式は、
SA = f ( 1.25 Sc + 0.25 Sh )
です。
数値を代入すると、
SA = 1.00 ×[ ( 1.25×138 ) + ( 0.25 ×130.8 ) ]
=172.5 + 32.7
SA = 205.2 MPaとなります。
ここで注目したいのは、Sh = 130.8 MPaに対して、SA = 205.2 MPaとなっていることです。
「許容応力」という言葉だけを見ると、
Shが約131MPaなのに、なぜSAは約205MPaもあるの?
と思うかもしれません。
しかしShとSAは、そもそも評価する目的が違います。
- Sh:約131 MPa → Sustained側の評価基準
- SA:約205 MPa → Displacement Stress Range側の評価基準
です。
例えば、
SUSのSL = 120 MPa
なら、120 < 130.8でSh以下です。
一方、EXPのSE = 180 MPa
なら、180 < 205.2でSA以下です。
同じ配管モデルでも、SUSとEXPでは比較する許容値が違うことが分かります。
注意ポイント
Sc = 138 MPa、Sh = 130.8 MPa、SA = 205.2 MPaは理解のための計算例です。実案件では、材料・温度・サイクル数・Code Editionなどによって値が変わります。
FAQ|配管のSh・Sc・SAでよくある質問
ShとScはどちらが大きいですか?
材料と温度条件によって異なります。
一般的な高温配管では、温度が上昇すると材料の基本許容応力が低下するため、Sc > Shとなるケースが多くあります。
ただし「必ずScのほうが大きい」という固定ルールではありません。
Scは常温の許容応力ですか?
必ずしも常温とは限りません。
常温で据付けて高温運転する一般的な配管では、Scが常温側になるため、その覚え方で理解しやすいでしょう。
厳密にはASME B31.3で、Scは対象変位サイクル中の最低金属温度側のBasic Allowable Stressとして扱われます。
SAは材料表に載っていますか?
ShやScと同じ意味で材料表から直接読み取る値ではありません。
SAはSc・ShやStress Range Factor fなどを使って求めるAllowable Displacement Stress Rangeです。
基本式は、
SA = f ( 1.25 Sc + 0.25 Sh )
です。
熱応力がShを超えたらNGですか?
EXPの熱膨張応力については、Shを超えたという理由だけでNGとは判断できません。
変位応力範囲SEは許容変位応力範囲SAと比較して、
SE ≦ SA
を確認します。
SUSとEXPの違いは何ですか?
簡単に整理すると、
- SUS:自重・内圧などの持続荷重を評価
- EXP:熱膨張などによる変位応力範囲を評価
です。
初心者は、
SUS → Sh
EXP → SA
から覚えると理解しやすくなります。
SAが大きいほど安全ですか?
SAの値だけでは配管系の安全性は判断できません。
配管応力解析では、
SE/SA- 配管変位
- サポート反力
- アンカー荷重
- ノズル荷重
- Occasional Load
なども確認します。
コードストレスが許容範囲でも、機器ノズル荷重や配管変位が許容範囲を超える場合があります。
ASME B31.1でもSc・Sh・SAを使いますか?
B31.1でも同様の記号が登場しますが、B31.3とB31.1を完全に同じ規定として扱ってはいけません。
採用する配管コードによって、
- 材料許容応力
- 計算式
- 制限
- 適用条件
が異なる場合があります。
実案件では必ずプロジェクト指定のCodeとEditionを確認してください。
まとめ|Sh・Sc・SAは「荷重→応力→許容値」で覚えよう

Sh・Sc・SAは、3つの記号を個別に丸暗記するより、配管応力解析全体の流れの中で理解することが重要です。
最後に4点だけ確認しましょう。
- Scは最低温度側、Shは最高温度側のBasic Allowable Stress
- SAは熱膨張などのDisplacement Stress Rangeに対する許容値
- SUS → SL → Sh
- EXP → SE → SA
全体像は次のようになります。
自重・内圧など
↓
SUS
↓
SL
↓
Sh
熱膨張など
↓
EXP
↓
SE
↓
SA
Sc ──┐
├──→ SAの算定
Sh ──┘
配管応力解析で迷ったら、最初に、
「何の荷重によって発生した応力なのか?」
を考えてください。
持続荷重ならSUS側、熱膨張などの変位ならEXP側です。
そのあと、
SUS → SL → Sh
EXP → SE → SA
と追えば、解析結果の意味がかなり整理しやすくなります。
次に理解しておきたいのは、一次応力と二次応力の違いです。
SUSとEXPで評価方法が異なる理由をさらに深く理解すると、配管応力解析の考え方が一段クリアになります。
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- 配管の熱膨張を実例計算|ΔL=αLΔTから熱応力まで解説
- プラント配管サポートの基本|Rest・Guide・Line Stop・Anchorの違いを解説
へつなげると、配管応力解析を体系的に理解できます。
参考文献・規格
- ASME B31.3-2024, Process Piping — The American Society of Mechanical Engineers
ASME公式ではB31.3-2024が現行版として掲載されています。 - ASME B31.3-2024 — Allowable Displacement Stress Range関連規定
SE ≤ SA、SA = f(1.25Sc + 0.25Sh)、Liberal Stressを考慮した式、2024版のStress Range Factorなどの確認に使用。 - ASME B31.3-2022 — Appendix S計算例
Sc = 138 MPa、Sh = 130.8 MPa、SA = 205.2 MPaの例を参照。 - 「配管系解析における材料の基本許容応力値」伊藤忠テクノソリューションズ engineering-eye
基本許容応力と規格・年版・材料ライブラリの関係を確認。
注意ポイント
免責・設計上の注意
本記事はASME B31.3の考え方を学習するための解説であり、個別設備の設計条件を保証するものではありません。
実際の配管設計・応力解析では、契約仕様書、Design Basis、適用法規、採用Code Editionおよび正式な規格本文を確認してください。